潜在意識(メンタル関係)
- Takashi Shindo
- 2015年4月30日
- 読了時間: 5分
潜在意識についてなるほど!って思う文書を目にしました。
潜在意識という単語にはたくさんの意味が含まれるが,ここでは記憶や体で覚えた技術 を蓄えておくデータバンクということで理解してもらいたい。
潜在意識は大別して二つの機能を司る。
ひとつは人間が生まれながらもっている本能的 能力であり、心臓の動き、呼吸作用などの自律神経系の働きをコントロールすることであ る。いまひとつは後天的に学習したことを自動化する機能である。そのなかには記憶のフ ァイル、技術的なデータバンクといった機能も含まれる。(これらはそれぞれ生理学的に は全く異なった器官が関与するがここでは概念的説明として理解されたい) 運動技術論では潜在意識には情報の正誤を判断する能力はない。したがってどのような情 報、或いは誤った技術も全て等しくファイルに収めてしまう。情報は意識から送られてく るもので情報の選択は意識によって行われる。
意識と潜在意識の関係はプログラマーとコンピューターの関係に似ている。プログラマ ーが誤った数式を潜在意識に記憶させると潜在意識はその正誤に関係なく数式にしたがっ て演算を実施する。5x5=10 をプログラミングするとその誤りを訂正するまで 5x5=10 と潜在意識は答えてしまう。射撃のトレーニングがコントロールされなければならない理由はここにある。演算は実施するがその方法が誤っていれば正解が出ないし、射撃技術の 場合あちこちに誤った演算方法が増殖してしまうからである。何年もかけて射撃技術のあ ちこちに散らばってしまった数式を訂正することは実は新たに数式を打ち込むことよりは るかに困難である。
潜在意識はインプットされた情報を全てファイルしてゆくが、それらの情報を引き出す 回線はすべてあるわけではなく、引き出す努力をした回線のみ生き残って残りは断線する か、容量が極端に低下する。時々何かの拍子に回線が繋がって突然忘れていたことを思い 出すことがあるが、思い出す努力をしないとその回線は再び切れてしまう。その回線を保 持するためには反復して記憶を引き出す努力をしなければならない。情報のファイルも始 めは少ない情報量であったものが、何度も繰り返すうちに多くの情報量を持つようになり、 意識から照会があったときに多くの情報を回答として引き出すことができるようになる。
潜在意識は同時に無限に近い数の行動をコントロールすることができる。例えば正しい 据銃をしながら呼吸調整を行うことも可能になる。後天的に学習しそれを自動化する過程 がトレーニングであり、初めて行う行動は潜在意識にデータが入っていないため各段階で 意識の直接命令が下される。その命令が潜在意識に情報としてインプットされ、長いトレ ーニングを経て情報量が増加し、以後意識が“思った”だけで潜在意識が体を自動的にコン トロールする技術が身につくのである。また潜在意識は意識が思っている方向で行動を起 すという特性も持っている。即ち潜在意識にプラス・マイナス両方の技術が存在する場合、 意識が連想する方向での技術が発揮されやすいという傾向がある。

ピアニストがピアノを習った過程において、初めに意識が動作をコントロールしていた 時は、意識には一度にひとつのことしか集中できないという規制があり、いかに集中をす ばやく切り替えたとしてもその処理能力は潜在意識に比べて大きく劣り、動作はぎこちな いものであったはずである。しかしそれを反復練習してゆくうちに潜在意識に蓄えられる 情報量が増大し、音符を見ただけで潜在意識より必要な全ての情報をとりだし、しかも潜 在意識による技術的な行動、すなわち同時に体の全ての部位をコントロールする高度な技 術行使であるため、スムーズで完全な動作として表れてくるのである。
このように技術が蓄積されるパターンを再検討していくと、トレーニングがどのように コントロールされるべきか明らかである。パソコンのキーを2本指でたたいても(実際に この原稿はそのようにたたかれている)、実用上文章は作成できるが、その正確性やスピ ードは正しい指使いをするものに比較して比較にならないくらい劣ってしまう。2本指で はブラインドで文章は打てない。射撃では初心者のうちの自己流がこれにあたり、そのま ま 90 点で停滞期を迎えたものにとって初めから指使いを習い直すのは大きな決意が必要 である。導入時に学習すれば楽であることは自明の理である。ブラインドでキーがたたけ なければ競技にならない。すなわち最も基本的なボーンサポートやバランスの要件が満た されていないと、進歩する第一要件が欠落しているということである。
またどのようなパ ーフォーマンスも潜在意識に蓄えられるとすると、弾数だけに頼ったトレーニングの有効性は大いに疑われる。何年か停滞しているものにとっては、仮に思い当たれば2本指から 10 本指への転換は必須事項であり、一定期間の初心者メニューの確実な実施は結局上級者 への道であるといえる。

https://youtu.be/1t5Tp6v0m_I
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